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執筆者の写真2代目花野果

小さな小学校の大きな運動会

私たち花野果の工房は、新上五島町の北魚目(きたうおのめ)という地域にあります。この地域には、小学校と中学校があったのですが、今年の3月、生徒数が減ったため北魚目中学校が閉校になりました。


北魚目小学校(通称:北小)の全校生徒は、現在28人。この小さな小学校で10月14日(日)、運動会が開催されました。


ここ6年ほどは、生徒数が少なくなってきていたので小中合同の運動会が開かれていましたが、中学校がなくなってしまったため、今年は小学校単独での運動会でした。できるだけたくさんの人たちに来てもらおうと、一般参加の種目を増やしたり、送迎バスを出して遠方の地域の方々を招待したりと、子どもたちや先生方、PTAの方々が知恵を出し合ったそうです。その一環で、ランチタイムに私たち花野果も出店させていただくことになったのでした。


この日は文字通り秋晴れの爽やかな1日で、運動場には地域の人たちが本当にたくさん集まって、クイズ大会や靴飛ばし大会など、誰でも参加できる種目には参加賞が足りないくらいの人たちが参加して、子どもたちの競技には温かい声援が沸き起こり、地域団体対抗リレーでは笑いが巻き起こり、消防団対抗リレーで本気のバトルに大きな歓声が上がっていました。


お菓子食い競争の写真。子どもたちを見守りながらほのぼのとレースに参加する赤のさっぴぃと、大人げもなく本気で1位を取りにいく緑のさなえさん。


一生懸命な子どもたちや、子どもたちを全力でサポートする保護者や先生方、照れくさがりながらもとっても楽しそうに参加する地域の方々、みんなが笑顔で、和気あいあいとしていて、とても素敵な運動会でした。ものすごい組体操があるわけでも、壮絶なリレーのバトルがあるわけでもないけど、小さいからこそみんなが主役になれる、本当に島らしいイベントでした。


*****


新上五島町はこの先、どんどん人口が減っていきます。

日本全国どの地域でも人口が減っていますが、上五島をはじめとした離島地域の人口減少はものすごいスピードで進んでいくと言われています。

上五島では高校卒業後に9割の子どもたちが進学や就職で島外に出ます。子どもの数もどんどん減っていて、移住者やUターン者が急激に増えない限り、人口は減り続けます。


どうしたらいいのか。

私は、この北小の運動会に何かヒントがあるような気がしました。


北小の子どもたちも保護者も先生も地域の人も、どうしてここまで積極的になれたかというと、「北小をこの先もずっと存続させたい」という気持ちがあったからだと思います。学校は、地域の拠り所です。子どもたちは、地域の希望です。この先もずっと子どもたちの元気な声がこだまする地域であるようにと、心の中でみんな願っているはずです。だから、あんなにもたくさんの方が運動会に集まって、全力で楽しんだのだと思います。


「残したい」という思いは、大きな力になります。

上五島を残していくには、花野果の工房がある北魚目の地域を残していくには、今住んでいる人たちが必死になって地域を盛り上げ、人を呼び、来た人が「ここが居場所だ」と思えるような環境を作ることが大切だと思います。


そのためには地域の魅力を伝えたり、住居となる空き家を整備したりすることが必要になってきます。そして、来た人が地域に馴染めるような環境を作らなければいけないのだと思います。北小の運動会は、誰もが楽しめる機会がありました。

上五島も小さい島だからこそ、生きがいを見つけたり、スポットライトを浴びたり、必要とされたりする機会を誰もが作れると思います。


私たちにできることなんて微々たるものですが、このブログやSNSで地域の魅力を伝え、島の人たちと一緒に、「ここに住みたい!」と思えるような環境づくりを少しずつ進めていけたらいいなと、小学校を後にしながら思ったのでした。

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