私たちの畑に一体何が起こったのか、すぐには分かりませんでした。
ほんの2週間前には、雑草と芋の元気なツルが生い茂る私たちのズボラな芋畑がそこにはありました。今日が最後の芋掘りにしようと、ツナギを身に付け、朝から気合いを入れてやってきたのでした。
鉄柵に囲われた畑の扉を開けて目に飛び込んできた光景は、2週間前とは全く異なるものでした。明らかに何者かの手が入った形跡がありました。「誰かが掘りやすいように機械を入れてくれたのかなぁ」なんて呑気なことを話しながら畑に足を踏み入れると、淡い期待は一瞬で絶望に変わりました。畝は雑草ごと掘り起こされ、大きく育っていたであろう芋たちの姿は一つも見当たりませんでした。
イノシシにやられたんだ…
現実が飲み込めず、私もさっぴぃも茫然と立ち尽くしました。
上五島では近年、イノシシによる農作物の被害が著しく増加しています。
島の中心市街地から離れた過疎地域や山間部だけではなく、住宅街や小中学校のグラウンドにもイノシシが頻出。イノシシの被害に遭わないように、畑はワイヤーメッシュの柵か電気柵で囲うことが強く推奨されてきました。私たちの畑も頑丈な柵で囲われていたので、過去3年間はイノシシの被害に遭ったことはありませんでした。
「収穫前のサツマイモを全部食べられた」という話は何度も聞いたことがありましたが、まさか自分たちの畑が被害に遭うなんて…。悔しくて、きちんと対策をしなかった自分たちが情けなくて、もう何もする気が起きませんでしたが、私たちの畑はここにしかありません。来年こそ全ての芋たちを収穫できるように、芋づるを片付け、マルチをはがしました。畑はイノシシが入った直後なのか、深く掘り起こされ、ふかふかになっていました。もう少し早く収穫していれば…もっと手入れに訪れていれば…いろんな後悔が頭の中をグルグルしました。
片付けをする母の傍、コンテナを机がわりに絵を描くマイペースなリキさん。
幸いにも、花野果が借りている段々畑は2枚あって、1枚はすでに収穫を終えていました。収穫量は昨年の半分しかなく、来年の芋かりんとうや芋あんが心配ですが、収穫した芋たちを腐らせないよう追熟させ、一つ一つ大切に加工しようと思います。
なかなか畑作業に時間を使えない私たちの荒れた畑でもたくましく育ってくれるサツマイモ。花野果はサツマイモのおかげで事業を営むことができているのだということをもう一度噛み締めて、来年の芋作りはもっともっと手をかけようと心に誓ったのでした。
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